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相続の仕組みが大幅改正! どこが変わるの?
2019/09/06
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相続の仕組みが大幅改正!どこが変わるの?

家族や親族が亡くなった時、何かとトラブルになるのが「相続」だ。
高齢化社会を迎えた日本では、ますます注目を集めていく手続きのひとつであり、
それに伴ったトラブルも増加していくことが予想される。

民法には、誰が相続人となるのか、どんなものが遺産になるのか、
そして故人の権利や義務はどのように受け継がれるかなどについての基本的なルールある。
民法の中で、相続について規定した部分は「相続法」といわれ、
私たちの生活に直結するもっとも身近な法律のひとつだ。

この相続法が昭和55(1980)年以来約40年ぶりに大きく見直され、
今年1月から改正内容が段階的に施行されている。
7月には主に4つの大きな変更点が施行され、来年も続けて施行されていく予定だ。
これまでの相続の手続きとどこが変わっているのだろうか。
相続法の大改正について調査してみた。

 

 

① 自筆証書遺言の財産目録の作成がパソコンで可能に


これまで、自筆証書遺言は、財産目録を含めて全て手書きで書かなければならなかったが、
改正後はパソコンなどで作成した財産目録、通帳のコピー、登記事項証明書などでもよいことになった。
遺言書作成の手間が大幅に削減され、相続もしやすくなる。

この変更点は、2019年1月13日に施行済だ。

 

 

②被相続人名義の預貯金が一部払戻し可能に


今回の改正で最も注目を集めているのが「預貯金の一部払い戻し制度」だ。
口座の名義人が亡くなったことがわかると、金融機関はその口座を凍結する。
そうなるとその口座から勝手に預貯金の払い戻しができなくなる。
遺産分割協議がまとまらない限り、それぞれの相続人が単独で預貯金を引き出すことはできないのだ。

例えば、生活費や葬儀費用の支払、故人の債務の弁済など、お金が必要になった場合でも、
相続人は遺産分割が終了するまで、被相続人の預貯金の払戻しができないという問題があったわけだ。

そこで今改正では、遺産分割前にも預貯金債権のうち一定額については、
家庭裁判所の判断を経なくても金融機関で払戻しができるようになった。

具体的には2つの方法がある。
まずひとつめは、多くの人が利用することになりそうな手続きが、
葬儀代や喫緊の生活費など、緊急性の高い費用について相続人単独で払い戻しが求められる手続きだ。
相続対象の預貯金額の3分の1まで、それぞれの相続人の法定相続分の割合の金額が引き出せるようになる。

例えば、亡くなった親の預金が600万円あり、相続するのが子ども2人なら、600万円の3分の1で200万円。
2人だからその50%で100万円ということになる。
ひとつの金融機関から引き出せるのは最大150万円まで。
複数の金融機関なら150万円以上も引き出せる。

もうひとつの払い戻し制度の方法は、家庭裁判所の保全処分だ。
家庭裁判所のチェックを受けて、他の相続人の利益を害しないと判断されれば、引き出し可能となる。
こちらはひとつの金融機関最大150万円という上限はなく、裁判所が認めれば全額を引き出すことも
可能となるが、手続きに一定の時間がかかることは覚悟しなければならない。

この制度変更は、2019年7月1日に施行されている。

 

 

③自宅の生前贈与が特別受益の対象外に


改正前は、生前贈与した家は遺産の先渡しとして扱われ、その分だけ遺産の取り分が減ってしまっていた。しかし改正後は、結婚20年以上の夫婦なら、配偶者に生前贈与した家は特別受益の対象となり、
相続の対象外となることになった。

改正前は、被相続人が、自分の死んだ後に配偶者が困らないようにという考えで家を生前贈与しても、
配偶者が受け取る財産の総額は生前贈与しないときと変わらなかった。
こうなると、現金の相続などが生前相続された家の分だけ減ることになる。

今改正で、家を生前贈与された配偶者は、結果的により多くの相続財産を得ることができるようになる。
生活費が足りなくなったり、家を追い出されたりすることがなくなることを狙っている。

この改正も2019年7月1日に施行された。

 

 

④法務局で自筆証書遺言が保管可能に


これまで自筆証書遺言は自宅で保管されることが多く、
せっかく作成しても紛失、廃棄、改ざんなどの恐れが常にあった。
このような原因で相続のトラブルになることを防止するために、
今回の改正では自筆証書遺言を法務局で保管する制度がスタートすることになる。
被相続人は、安心して遺言を書き、残すことが可能になるわけだ。

施行日は2020年7月10日。

 

 

⑤特別寄与した法定存続人以外が金銭請求可能に


特別寄与した法定存続人以外が金銭請求可能に

 

法定相続人ではない親族、例えば子どもの配偶者などが、
被相続人の介護や看病を献身的に行ったなどのケースに適用されるのがこの制度改正。
改正前は、法定相続人ではないということだけで遺産の分配がされなかった。
これがトラブルの原因にもなっていた。

これに対して今改正では、介護や看病などの貢献分を、他の相続人に請求できるようにしている。
「特別寄与料」という名目で請求できるもので、
仕事を辞めてまで介護に専念したという貢献度が必要とされる。
金額はヘルパーなどに委託した場合の料金などが参考となる。

施行日は2019年7月1日。

 

 

 

⑥配偶者の短期居住権を新設


これまで、配偶者が自宅を相続できないと、すぐに住む場所が確保できないケースがあったが、
改正後は遺産分割協議を終えるまで、もしくは最低でも個人の死後6カ月間は、
無償で自宅に住み続けることが可能になる。

施行日は2020年4月1日。

 

 

相続は生前から時間をかけて準備しよう


ここまで相続法改正の大きなポイントを解説したが、変更点はまだまだある。
相続で余計なトラブルを招かないために、生前から相続についてきちんと学び、
しっかり準備するようにしたいものだ。税金の制度なども複雑に絡み合う問題なので、
専門家や自治体の相談窓口などを賢く利用することも大事だろう。

── 超高齢化社会に突入した日本では、昨今「終活」がブームとなっているが、
相続はその終活の大切なポイントのひとつなのだ。法改正の内容を理解し、
亡くなったあとに揉め事が起きないよう生前にきちんと対処しておくこともまた、
「終活」のひとつといえるだろう。

 

≪記事作成ライター:三浦靖史≫
フリーランスライター・編集者。プロゴルフツアー、高校野球などのスポーツをはじめ、
医療・健康、歴史、観光、時事問題など、幅広いジャンルで取材・執筆活動を展開。
好物はジャズ、ウクレレ、落語、自転車。

 

【転載元】
日本クラウド証券株式会社 https://crowdbank.jp
日本クラウド証券メディア マネセツ https://manesetsu.jp

 

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