AIチャットボットのコラムですが、今回で最終回です。
前回、
どんなAIチャットボットがあるか?
どういったシーンでAIチャットボットを使うのか?また使えるのか?
というお話しをさせていただきました。
3回目の今回は、
どうAIチャットボットを賢くする!?
どうAIチャットボットに教え込む!?
これについてお話ししようと思います。
第一回でもふれましたが、
現在のAIチャットボットで利用されているAIでは、
勝手に自己学習始めて、自動で全て行うわけではないことはご説明した通りです。
前回もお話ししましたが、教師あり学習。
つまり、人間がAIに教えてあげるタイプ。
これは、“学習データ”とか“シナリオ”といった表現で
言われていることが多いと思いますが、
これらを作成する必要があります。
Watsonを例にすると、
IBMさんは、テキスト分析については、
「地名や場所、固有名詞など一般的なコトはすでに学習済み」と言っております。
では、我々は何を教えなければいけないのか?という事になるのですが、
それが、
“ビジネスルール”や、
“業界特有のワード”や、
“社内のワード”であるわけです。
平たく言うと、“素のWatson”はまだビジネスを知らない新人君みたいなもの、
と思ってもらえればよいのではないかと私は思っています。
前回の事例でも使わせて頂いた大和ライフネクストさんで言いますと、
社内情報共有として利用しているWebシステム(製品名:ナレッジリング)と、
IBM Watsonを連携しているのですが、
このWebシステムでは、お客様向けの提案書や事例集、規約や約款など、
管理業務に纏わるドキュメントが管理されています。
AIを活用する以前の課題としては、
『数千点もある記事から必要な情報(記事)を最短で見つけられないこと』でした。
例えば、「防災」というキーワードで聞いても、大量の記事が検索にヒットします。
また、キーワード検索だとどうしても、「防災」とか「防災訓練」などの、
いわゆるビッグキーワードになるような聞き方(入力)しかしていないことが、
利用状況調査でも分かっていましたので、
沢山の記事が検索にヒットしてしまい、最適な情報に辿り着くのに時間がかかる、
こういった状況が課題の一つでもありました。
それを、AIと連携することによってこの課題を解決したわけです。
※そのイメージがこちらです。
日常的な対話で聞くような質問を学習データとして用意。
それと対になるような回答を幾つかのカテゴリーに分ける。
こうすることで100以上の防災関連記事から10件前後の記事をお勧めできるようになり、
結果、大量の記事の中から必要としている記事を見つける時間が短縮できています。
また、今までのチャットボット(AIを使う前)では、
AIを使わない格安チャットボットなどがそうですが)
質問されたことが100%一致するか、
もしくはある程度部分的に一致しないと正確に回答してくれませんでした。
例えば、
賃貸借契約書のテンプレートをどこにあるか聞きたいとします、
そうすると、質問はこんな感じになると思います。
「賃貸借契約書の雛形ってどこにある?」
「賃貸借契約書のテンプレートはどこにありますか?」
もっと簡略化すると、
「賃貸借契約書ってどこ?」
以前であれば、この質問で同じ回答を返させるというのは大変難しい事でした。
それが、AIを使う事によって、
これらの文章で問合せがあった場合、
“賃貸借契約書の保管場所を聞いているんだな!”とAIが解釈し、
「賃貸借契約書は●●サーバの■■に保管されています。」のように
回答させることができるようになりました。
その際に実際に作る学習データの構成としてはこのようなイメージです。
【回答】
「賃貸借契約書は●●サーバの■■に保管されています。」
【質問】
「賃貸借契約書の雛形はどこでしょうか?」
「賃貸借契約書のテンプレートはどこにありますか?」
「賃貸借契約書の保管場所を教えてください」
「契約書はどこにありますか?」
「契約書はどこに保管していますか?」
これは比較的シンプルな一問一答形式の場合ですが、
これを、AIに学習させていくイメージになります。
一度覚えさせてしまえば、忘れることなく回答してくれます。
では、一つ具体例をあげます。
例えば、コーポレートサイトにFAQを乗せている企業も多いと思いますが、
これにAIチャットボットを配置して、24時間365日対応にして、
顧客接点を増やそう!とした場合、具体的な手順としては以下のような形になります。
1.FAQの整理
2.学習データの作成
3.チャットボットの配置
4.1と2の連携
まずは、現行のFAQサイトをそのまま使うのか、
それともチャットボットの配置に従い、こちらも変更するのかによって変わりますが、
FAQサイトはそこまで手を加えないのであれば、
2の学習データの作成は、お客様が質問してくるであろうお問合せを分類分けし、
その分類ごとの回答を用意して、現在あるFAQの記事に繋げる!こういう手順になります。
例えば、
「土地が余っているので有効に土地活用したいのだがどうしたらよいか?」
というお客様に対して、AIチャットボットが、
「土地活用についてのご相談ですね。」
「土地活用については、こちらで有効な活用方法を掲載しております。
よろしければこちらの記事をご覧ください。有効な土地活用について!」
として、FAQサイトへのリンクも貼付け、記事を紹介する。
FAQサイトには更に詳しく聞きたければという事で、
担当部門や担当の連絡先などを掲載しておく。
こうすることで、ただの味気ないFAQサイトが、
24時間365日対応できる顧客接点の窓口となる可能性がでてきます。
いかがでしょうか?
ここまで、AIチャットボットを賢くする方法と、
AIをどう教える(賢くする)か?をお話ししてきましたが、
イメージはつきましたでしょうか!?
今回のコラムで、3回に渡って、AIチャットボットについて話をしてまいりました。
簡単にまとめますと、
“AI”と“チャットボット”はそれぞれ独立していること
AIチャットボットはまだ全て自動でできるわけではないこと
AIチャットボットは社内FAQや顧客接点の窓口として利用できること
AIチャットボットには人による教育(学習データの作成など)が必要であること
もし、AIチャットボットに関するご相談がございましたら、
弊社まで直接ご連絡頂くか、
https://www.chataide.faq-system.com/ のお問合せフォームからご相談下さい。
本日もお付き合いくださりありがとうございました。
年内の寄稿はこれで最後になります。
また来年も“IT”と“不動産”をキーワードに寄稿させて頂きます。
皆様、良いお年をお過ごしください!
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※当コラムは株式会社CBIT執行役員 庄山幸一様より寄稿いただきました。